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レクチャーシリーズ「質とは何か」全5回

質とは何でしょう?

モダニズム以後のアートは、あえて質を主要な問いにしないできました。それでも質が高いものを作ってしまうのがアーティストでしたが、近年、本当に質の悪いものが作品といわれているようにも思えます。
芸術以外でも質は問題になります。コンビニのパンでも役所の対応でも教育でも。にもかかわらず、質の専門のように言われるアートでその意味があまりに考えられていないのではないでしょうか。ジャンル(絵とか劇とか)の質をなんとか言語化できたとしても、それが一般に云う質とどう関係するのかとなると口ごもりがち。それどころか、アートファンに、作品の質がなんなのかを説明するのにも困ることもあります。
そこで、5人の批評家・美学者・研究者に、質とは何か語ってもらい、対話をする場をもつことにしました。
まず、各回の講師に質をテーマに30分程度講義をしていただきます。それから、会場と議論し、質を言葉にしていく作業をしてみます。2時間のイベントですが、延長前提で考えていますので、ぜひお時間をあけてお付き合いください。

アーティスト・キュレーター・プロデューサーはもちろん、アートに興味を持ち始めたばかりの鑑賞者やコレクター志望の方にお勧めします。参加者は、5回の講座のあと、自分にとって質とは何かが語れるようになっていただくことを目指します。通しでの参加を強くお勧めします。

企画・司会は劇作家の岸井大輔、主催は四谷未確認スタジオです。

第1回 5月26日(日)18時ー20時 鞍田崇(哲学)

第2回 6月2日(日)18時ー20時 熊倉敬聡(藝術学)

第3回 7月28日(日)18時ー20時 黒瀬陽平(美術批評)

第4回 8月4日(日)18時ー20時 池上高志(複雑系科学)

第5回 10月(日未定・日曜)星野太(美学)

各回司会 岸井大輔(劇作家)

各回3500円、通し1万円です。
お問い合わせ・ご予約はメールアドレス未確認スタジオyotsuyamikakunin@gmail.comまで、タイトルを「質」としてご連絡ください。通し受講のお申し込み締め切りは4月中とします。

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主催 四谷未確認スタジオ
アーティスト主導で運営される制作、発表、交流の3つの機能を併せもつ複合施設です。3つの機能が連動する仕組みをつくり、日本美術に根付いた価値、市場、場所を再編していくことを目指します。


講師プロフィール

池上高志
84年東京大学理学部物理学科卒業、89年同大学院理学系研究科博士課程修了。90年神戸大学大学院自然科学研究科助手。94年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻助教授に。2008年より現職。理学博士。複雑系と人工生命をテーマに研究を続けるかたわら、アートとサイエンスの領域をつなぐ活動も精力的に行う。著書に『生命のサンドウィッチ理論』、『動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ』、『人間と機械のあいだ』(共著)など。

岸井大輔
劇作家。1970年生。他ジャンルで遂行された形式化が演劇でも可能かを問う作品群を制作している。代表作「potalive」「東京の条件」「始末をかく」現在、ポストコンテンポラリーアート概念練成中。

熊倉敬聡
元慶應義塾大学教授。マラルメの貨幣思想を研究後、現代芸術に関する評論・実践等を行う。大学を社会へと開く新しい学び場「三田の家」、「Impact Hub Kyoto」の運営に携わる。著作に『瞑想とギフトエコノミー』、『汎瞑想』、『美学特殊C』、『脱芸術/脱資本主義論』。

鞍田崇
明治大学理工学部准教授。1970年兵庫県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学・環境人文学。総合地球環境学研究所を経て、2014年より現職。著作に『民藝のインティマシー』(2015)など。NHK「趣味どきっ!私の好きな民芸」に出演(2019年2-3月アンコール放送)。

黒瀬陽平
美術家、美術批評家。1983年生まれ。ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に『破滅*ラウンジ』(2010年)、『カオス*イグザイル』(F/T11主催作品、2011年)、『キャラクラッシュ!』(2014年)、『カオス*ラウンジ新芸術祭2017「市街劇 百五〇年の孤独」』(2017年)など。著書に『情報社会の情念』(NHK出版、2013年)。

星野太
美学/表象文化論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、金沢美術工芸大学講師(芸術学)。著書に『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)。

「After Opening」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オープンスタジオというものが担っていた役割が変わってきました。

以前は閉じたコミュニティの中で美術関係者やコレクター、作家仲間を呼ぶことで役割は完結していたように思えますが、近年ではもっと開かれた活動になってきています。

相模原周辺で行われるスーパーオープンスタジオではツアー形式で各スタジオを巡るというプログラムが用意され、スタジオ内には制作メンバーの他にゲストアーティストの作品も展示されています。

取手市にあるスタジオ航大のオープンスタジオのフライヤーにはイベントスケジュールやアクセスの仕方まで丁寧に、誰にでも伝わるようにデザインされ、スタジオメンバーの作品集まで作られています。

これらの事例以外にもギャラリースペースを持つスタジオは存在し、定期的に展覧会が行われています。 アーティスト自身が誰に見せたいのか、どこで見せたいのかということを考え、実践することが当たり前となり、スタジオはただの制作所ではなくオルタナティブスペースという色を帯びてきているのではないでしょうか。

各地で新しい動きが起こっているにも関わらず、方法や考え方が共有されずにいるというのはもったいない気がします。

場所がなくなってしまったらアーカイブはどうするのか、ノウハウは誰が引き継ぐのか、作品を売るとして、証明書はどうするのか...問題を挙げ始めたらキリがありません。

いま挙げられる問題や、これから起こるであろう問題解決のため、場所運営の構造化をしなければならないと強く感じています。

四谷未確認スタジオは昨年の6月25日にプレオープンスタジオを行い、初めて大々的に人の目に触れました。

この場所は1年という時間の中で展示を重ね、販売のための新しいシステムを導入し、東京都心部での制作環境を整えました。

制作・展示・交流を同時に同じ場所でやる。ということを向こう見ずに推し進めてきて、やっと器が整ったので、1周年の節目にスタジオの全てのスペースを開放して、情報を共有し、スタジオというものの構造化を目指そうというのがこの催しの趣旨となります。

このままこの場所を維持しながら、いい感じのことをやっていくだけ。それだけでも大変なことです。

しかし未確認スタジオの活動は開いた後の動きこそ意義があると思っています。 それを達成するためにはこれから時代をつくっていく人たちの理解と協力が必要不可欠であり、今はそれが最も足りていません。

来たい人だけ来ればいい、ではなくできるだけ多くの方のご来場を願っております。

 

四谷未確認スタジオ主宰 黒坂祐

6/22(土) ~ 7/7(日)

14:00 ~ 20:00

金土日祝のみオープン

投げ銭制

新宿区四谷4-13-1 四谷未確認スタジオ